問11 組織が壊死するときに融解壊死が起こりやすい臓器はどれか。
① 心臓
② 脳
③ 腎臓
④ 脾臓
⑤ 肺
問12 萎縮の分類とその例の組合せとして正しいのはどれか。
① 生理的萎縮 - 神経損傷による骨格筋の萎縮
② 内分泌性萎縮 - 性成熟後の胸腺の退縮
③ 不使用性萎縮 - 精巣摘出による前立腺の萎縮
④ 圧迫萎縮 - 水頭症による脳実質の萎縮
⑤ 貧血性萎縮 - ギブス固定による骨格筋の萎縮
組織の病的変化
組織に病的な変化が起こった時に,細胞や組織には様々な変化が認められます。主な変化としては,①変性(組織に異常な物質が出現したり,生理的に存在する物質が多量に蓄積したりする),②萎縮(細胞の数や細胞の大きさが小さくなる),③壊死(細胞や組織の病的な死),④アポトーシス(生理的なプログラムされた細胞死)の4つがあります。
変性
変性には実に様々な種類が存在し,それぞれを覚えるのは不可能かと思われます。なので,さらっと受け流しましょう!
基本的には細胞の中に蓄積する物質により変性の名前が決まります。
★色素沈着症・・・生体内で合成される色素物質が異常に組織に沈着した状態
ヘモジデリン:
赤血球(ヘモグロビン)の破壊により組織内へ沈着する色素で『鉄』を含んでいる。
ビリルビン:
胆汁に含まれる色素で,黄疸の際に肝臓を始め様々な組織に沈着する。
メラニン:
メラニン産生細胞(メラノサイト)により産生される色素で,慢性皮膚病などで皮膚に蓄積する。
ポルフィリン
セロイド
萎縮
正常に発生した組織や器官において,細胞数や大きさが減少することにより起こる変化を萎縮という。原因により7つに分類されます。
壊死
何らかの外的な要因によって組織が死んでいくことを壊死という。壊死は特徴により,①凝固壊死と②融解壊死に分けられる。
①凝固壊死
壊死した組織が硬くなること。
②融解壊死
タンパク分解酵素を多く含む組織に壊死が起こると,急速な液状化が起こり,ぐずぐずになる壊死。特に脳ではこの現象がおおくみられ,「脳軟化」という。
アポトーシス
生理的に予定された細胞死をアポトーシスといいます。オタマジャクシが発生の段階でカエルへと変化する際に尻尾が徐々に短くなっていく様子はまさしくアポトーシスです。カエルの段階では尻尾は必要無いので,細胞にアポトーシスのスイッチが入ると徐々に短くなっていきます。
問題の解説
問11の解答 ②
今回の問題では,「壊死」についての問題です。融解壊死が起こりやすい臓器は,タンパク質分解酵素を多く含む「脳」です。
問12の解答 ④
①神経損傷による骨格筋の萎縮 ⇒ 『神経性萎縮』
②性成熟後の胸腺の退縮 ⇒ 『生理的萎縮』
③精巣摘出による前立腺の萎縮 ⇒ 『内分泌性萎縮』
⑤ギブス固定による骨格筋の萎縮 ⇒ 『不使用性萎縮』
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